本日は、能動的・主体的な人生を送るために役立ちそうな話題を。
「頼まれたことを全部引き受けてしまう」
「モノが捨てられない」
「何から手をつけていいかわからない」
「自分軸がなくて周りに流されてしまう」
「あれもこれもと手を出して全部中途半端になる」
「毎日忙しいわりに肝心なことはできていない」
「優先順位を間違えて失敗する」
人生において、このような悩みをお持ちの方は多いかと思うのですけど、根本の原因は同じなのかもしれないなと思わせてくれた本『エッセンシャル思考』。
2014年の発売当初、一度読んでいましたが、最近またご縁があって紹介していただいたので改めて読んでみました。
能動的に生きたい、大事なことにエネルギーを注ぎたい、シンプルで本質的な生き方を追求したい、と思っている方には役立つ視点があるなと思いましたので、本日は『エッセンシャル思考』のポイントをお伝えしたいと思います。
ライフハックよりもエッセンシャル思考が必要

「ライフハック」という言葉、ご存知でしょうか?
ライフハックとは、効率良く仕事をこなし、高い生産性を上げて、人生のクオリティを高めようと工夫する取り組みのことです。
『大量のことをいかに効率良く捌くか』というのがテーマですね。
ライフハックという言葉がいつ流行ったのかもう忘れてしまいましたが(10年ほど前かな?)、私もそのブームに乗って、制作スピードをいかに速くするか(当時はデザイン制作業のワーカホリックでした)、事務作業をいかに効率よく回すか、といったことを試していた時期がありました。パソコンのショートカットとか、タスクの自動化とか、もういろいろ。
でも、ふと気づくんですよね。
「そもそも、これだけ効率化してまで、やるべきことが本当にあるんだろうか」
「私が今やっていることは本当に大事なんだろうか」
「タスク自体を減らすことにエネルギーを注ぐ方が賢いんじゃないだろうか」
そうですよね、命も人生も限られているのに、よく考えるとたいして大事じゃないことにエネルギーも時間も注ぐというのはもったいないんです。
家庭や社会での義務や責任はもちろんありますから、そういうものを全て投げ打って、急に「命にとって大事なことをだけをする」というのも無理なのですが。
そんなこんなで、ライフハックの効率化ブームに疑問を感じる時期を経て、その後に出会ったのが「エッセンシャル思考」でした。
エッセンシャル思考とは、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方です。
もちろん、ただ少なければ良いという考え方ではなくて、自分の時間とエネルギーをもっとも効果的に配分することで、大事なことにフォーカスしてそこで最大の成果をあげるのが狙いです。
仕事や家庭、趣味など、自分の活動内容に関わらず人生全般に適用できる「生きるスタンス」みたいなものですね。
私の場合、同時期にミニマリストとしての生き方に興味が湧いていたので、あらゆる考え方のベースが「減らす」ことに、一気にシフトチェンジした時期だったといえます。そして、これら一連の「less is more」計画が、約10年を経て、現在の生活の礎になっているなと。
なので、私としては、大量の作業やスケジュールをこなすことはもちろん立派だとは思うのですけど、それ以前に作業や予定の必要性を見直してみること、何のためにやっているのか、もっと大事なことがないか、根本的な問いかけを自分にしてみませんか、と提案したいという気持ちがあります。
ライフハック、スケジュールハックよりも、エッセンシャル思考を。
もし今、アナタが日々のタスクに追われているようであれば、まずはタスクの必要性を問うこと、そしてその他のルーティンワークなどに対しても一度視点を捉え直して変えてみることをオススメしたいと思います。
では次に、エッセンシャル思考とは何なのか、具体的にみていきましょう。
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非エッセンシャル思考とエッセンシャル思考

はじめに、エッセンシャル思考の最たるポイントは、ほとんどの物事が不要だと考えることです。はい、少し過激です、笑。
『大多数のことは無価値である』
少々過激なのですけれども、この情報化社会において、あれもこれも大事と思っているとキリがないですよね。
何かをとるために、何かを捨てる、全部をやろうとしない、こういった潔さを意識することで、日々溢れかえる情報や任務の渦に翻弄されることを防ぐことができます。
そして、たくさんの瑣末な物事の中から少数の本質的なことだけを選び取っていきましょう、と。
つまり、エッセンシャル思考とは、周囲の環境に流されたり振り回されたりして逃していた『自分による、自分のための選択』を、『自分の手のうちに取り戻す』道のりだといえるのですね。
ということで、本書の中で紹介されていた「非エッセンシャル思考」と「エッセンシャル思考」の違いを以下で紹介します。
■ 考え方
みんな・すべて
・やらなくては
・どれも大事だ
・全部こなす方法は?
■ 行動
やることをでたらめに増やす
・差し迫ったものからやる
・反射的に「やります」という
・期限が迫ると根性で頑張る
■ 結果
無力感
・何もかも中途半端
・振り回されている
・何かがおかしい
・疲れきっている
■ 考え方
より少なく、しかしより良く
・これをやろう
・大事なことは少ない
・何を捨てるべきか
■ 行動
やることを計画的に減らす
・本当に重要なことを見定める
・大事なこと以外は断る
・あらかじめ障害を取り除いておく
■ 結果
充実感
・質の高い仕事ができる
・コントロールしている
・正しいことをやっている
・毎日を楽しんでいる
自分にとって大事なことを見極めないまま、頼まれたことや義務・責任を果たすことだけに集中していたら年月が過ぎていた、というのは決して稀なケースではないと思います。
断ることを極端に嫌う風潮は、やはり今なお根強く、頼まれたら引き受けるのが責任だ、相手のためだ、という感覚が家庭や社会によって育てられてきたといえます。
しかも、優秀な人、器用な人こそ、たくさん手際良くこなせてしまうが故に、このジレンマに苦しんでいるような気がします。
上の項目で、非エッセンシャルに偏りがち、なおかつそれに不満を感じている人、あるいは人生全体で「何かに振り回されている」と感じているようであれば、エッセンシャル思考的生き方にシフトチェンジしていくのがいいかもしれません。
で、さきほども言ったように、エッセンシャル思考は「選択することを自分の手に取り戻す」ことだと言えるのですけど、これは「選ぶことを選ぶ」ということでもあります。つまり、選ぶことにめちゃくちゃこだわるのです。
では選ぶことにこだわるために、どうすればいいか。それにはやはりスキルが必要で、本書では選択力を上げるための方法が詳しく紹介されています。それが、これから紹介する『3つの原則』です。
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エッセンシャル思考の3つの原則

エッセンシャル思考には3つの原則があります。
- 見極める技術
- 捨てる技術
- しくみ化する技術
順にみていきましょう
①見極める技術
本当に重要なものごとを見極めるために必要なことは5つ。
じっくりと考える余裕、情報を集める時間、遊び心、十分な睡眠、そして何を選ぶかという厳密な基準だ。
-中略-
忙しく動きまわることを有能さの証だと思っている人は、考えたり眠ったりする時間をなるべく減らそうとする。しかし本当は、立ち止まる時間こそが生産性を高めるための特効薬だ。立ち止まる時間は無駄な寄り道ではなく、前に進むための最短コースを教えてくれるのである。
考える時間
まずは孤独時間の確保。誰にも邪魔されずに、集中して考える時間を確保することがまず第一です。できれば一日に1,2時間、難しいようであればせめて毎朝10分だけでも、忙しい日常から離れ、自分だけでいられる時間を確保しましょう。
情報を集める時間
自分にとって必要な情報を見極めるためには、ジャーナリストの目を手に入れる必要があると著者は言います。
自分の内なるジャーナリストを呼び起こすための方法として、①日記をつける ②現場を見る ③普通を知り、逸脱を探す ④問題や質問を明確にする などが紹介されていますが、すべて日常レベルで取り組めることです。要は、情報を正しくフィルタリングする癖をつけることですね。
なるべく時間をかけて調査・検討し、じっくり考えよう、と。
遊び心
遊んでいるとき、人はもっとも純粋な形で人間らしさを発揮します。
発想を豊かにしてくれたり、新たなアイデアが生まれるだけでなく、遊ぶことでストレスが軽減されたり、脳の高度な機能が活性化されたりと、計り知れない効果があります。
自分にとって本当に必要なものを見極めるためには、多角的に捉える視野が必要で、そのためにも新たな視点や刺激を与えてくれる「遊び」は不可欠だといえます。
十分な睡眠
睡眠不足になると、見極める能力が落ちて、優先順位がつけられなくなります。
何よりも、カラダが資本。すべては健康であることから始まることを忘れずにいましょう。
厳密な基準
何にでもイエスと言うのではなく、「まさに自分の求めていたことだから」やる、という姿勢で判断をしていくこと。これしかない、と思えることを選ぶこと。
絶対にイエスだと言い切れないなら、それはすなわちノーである。
この厳しい基準を「90点ルール」として著者はオススメしています。
(これは慣れるまでなかなか大変ですね〜)
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②捨てる技術(断る勇気を持つ)
次に、本当に必要なことをやり遂げるためには、不要なものごとを「捨てる」技術が必要です。
これは断捨離などで、実際にモノを捨てることをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
たとえば、捨てるかどうか迷っている昔お気に入りだったバッグがあった場合、「これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うかどうか」と考えてみる。買うと言い切れないなら、それは必要ないと考える。
何を捨てるか残すか、というモノの数が減ること自体が大事なのでなくて、捨てるべきものを問うときに、自分の優先事項がはっきりと見えてくることが重要なのです。
仕事やそのほかの活動でも同様です。自分のもとに思わぬチャンスが舞い込んできたときに、「このチャンスを逃したらどう感じるか?」と考えるかわりに、「もしもまだこのチャンスが手に入っていなかったら、手に入れるためにどれだけの労力(コスト)を払うか?」と考えてみる。
そのように考えることで、自分の優先順位が見えてくると、著者は言います。
自分の境界線がどこかを知る
何を捨て、何を残すかを見極める際に、エッセンシャル思考の人は、境界線を上手に利用します。
一線を引くことで自分を守り、周りからの過剰な干渉を防いだり、上手に断ったりするのですね。
自分の境界線を知る方法として、いつも足を引っ張られる相手のことを思い出すことを著者は提案しています。どんなときに、その人に邪魔されたと感じるか、どんな頼みをされたときに、さすがに断るしかないと思うか。
また、誰かに侵害されたと感じた出来事をリストアップすることで、自分の境界線がどこにあるかを知ることができます。
ここまではOK、ここからはNGというのを自分の中できちんと決めておけば、相手に曖昧な返事をしなくて済みますし、ポリシーを持つことで罪悪感も感じにくくなります。
③しくみ化する技術
「エッセンシャル思考」を継続して実行するためにはどうすればいいか。
そのためには「いつもエッセンシャル思考でいなくては」と考えずに無意識で実行できるよう、しくみ化をする必要があります。
本書で紹介されていた、エッセンシャル思考を無意識化するためのコツを一部紹介します。
仕事を減らし、成果を増やす
エッセンシャル思考の人は、むやみやたらに努力をしません。成果を生まない努力をやめることから始まります。
成果を出すために、人やお金や時間を増やすかわりに、制約や障害を取り除くことにエネルギーを注ぐのがエッセンシャル思考の特徴ですね。
最善の成果を出すために、意識すべき点として以下のことが紹介されています。
- めざすことを明確にする
→まずは自分が辿り着きたいところを知ること。これがないと、どこに進むかわかりませんね。 - ボトルネックを特定する
→めざすことが決まってもすぐに取り掛からず、障害になりそうなことをリストアップします。情報が足りない、疲れていてる、完璧にしないと気が済まない、などなど。 - 邪魔なものを取り除く
→ボトルネックが、メールのやりとりに時間を取られることだと感じたら、直接会ってその場で解決し、なんどもやり取りするメール作成時間を減らすようにする、など。成果を出すうえで障害になりそうなことに対して、あらかじめ対策を立てるようにします。
小さな一歩を積み重ねる
エッセンシャル思考であるためには、何でもいっぺんにやろうとせず、小さな成功を積み重ねることが重要です。
「完璧を目指すよりまず終わらせろ」
これはfacebookの創立者であるマーク・ザッカーバーグが言った言葉として有名ですが、まず終わらせることは品質を無視しろということではなくて、瑣末なことに気をとられずに本質をやりとげろという意味です。まさにエッセンシャル思考ですよね。
どうやって物事を終わらせるか、つまり、目標や締切に向かうときには二つのアプローチがあります。
早く小さく始めるか、遅く大きく始めるか。
「遅く大きく」というのは、最後の最後ですべてをやろうとすること。締切間際に本気を出して、徹夜でなんとか終わらせる。
一方、「早く小さく」というのは、できるだけ早い時期に着手し、軽い負担で終わらせること。2週間前に10分間の準備をするだけで、締切前の負担がずいぶん軽くなる。
自分が今抱えている目標や締切を思い浮かべて、「今すぐできる最小限の準備は何だろう?」と考えてみよう。
早く小さくを意識して、小さな成功を積み重ねることで、エッセンシャル思考が習慣化されます。
「今、何が重要か」を考える
エッセンシャル思考の人は、99%を捨てて1%に集中します。つまり、「今この瞬間を生きる」ことが、自分にとって最善の判断をするためにとても大事なのです。
やることが多すぎて何から手をつけていいかわからなくなったら、まずは考えるのをやめて、深呼吸することだ。心を落ち着けて、今この瞬間に何が重要かを考えよう。明日のことや、1時間後のことは忘れていい。今だけを見るのだ。それでも何から手をつけるかわからないなら、やるべきことをリストアップしたあと、今すぐやること以外はすべて線を引いて決してしまおう。
未来を頭の中に抱えない
頭の中に未来のことを詰まっていると、今この瞬間に集中することができません。未来から離れるためには、今感じていること、他にもやらないいけないと感じていることをいったん紙に書いてしまうことです。
「今すぐ必要ではないが重要なこと」「この先やりたいこと」をリストアップしましょう。モヤモヤしていることを吐き出すことで漠然とした焦りを感じずに済みます。
優先順位をつける
今すぐやるべきこと、今すぐ必要ではないけど重要なこと、この先やりたいことを全て書き出したら、優先順位をつけること。
一度に一つのことに集中し、終わったら線を引いて消すこと。
エッセンシャル思考でせっかく1%までやることを絞っても、もし優先順位を付けないままでいたら「どれから先に終わらせるべきかわからない」と思考にノイズが生まれてしまいます。
いかに思考のノイズを消すかがポイントです。
「今やるべきこと」に集中するために、その瞬間に考えなくても良いことは考えない、それほどの潔さをもつことが、エッセンシャル思考を無意識化するためには必要なのです。
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あとがき

以上、エッセンシャル思考について紹介しました。
今、何が自分にとって一番大切なことなのかを常に意識する、これは仕事に限らず人生全体においてとても役に立つ考え方だと思います。
受動的に対応することや、頼まれたら応じることに慣れている人にとって、求められていることより自分のポリシーを貫くことは難しいかもしません。
でももしアナタが、「自分の人生で何かを成し遂げたい」と思っているのであれば、エッセンシャル思考を身につけることで一点集中度が高まることは確かです。そしてやはり、何かを得るためには何かを捨てる必要があって、なにもかも全てをやるわけにはいかないのです。
私自身、エッセンシャル思考を学んで、人生でしないことリストを作ったり、断る基準を決めたり、健全な人間関係を育むために人との境界線を意識して作るようにしてきました。
そして現在では、以下のようなことが習慣化されています。
- テレビを見ない(見る場合は録画で)
- 散歩や日記で自分の内面と向き合う時間を確保
- 目的を決めずにネットサーフィンをしない
- 忙しくても一日完全offの日をつくるようにする(遊ぶ日を確保する)
- 予定が空いてるからという理由だけで、遊びや仕事の誘いに乗らない
- 週に一回は、デジタル断捨離(SNSやWEB情報を一切見ない)
- 成果を生まない闇雲な努力はしない(建設的な努力をする)
- 『早く小さく』始める
- はじめから完璧を目指すのではなく、徐々にアップデートしていく
まぁこれらの習慣について賛否両論あるとは思いますが、少なくとも私には、かなり良い影響を与えてくれていると実感しています。
私の場合、精神的に自由であることがとても大切なので、自由を感じるためには、周囲に流されず自分自身で選択しているのだという感触を味わう必要があります。そして、自分自身で選択している、という感触を味わうためには、何をしないか、何をするかを小さなレベルから決めておくことが大切なのですね。
かといって、想定外のことはもちろんいつだって起こりますから、それはそれで楽しみつつ、自分の守るべきところは守るという感じで。
自分を守るというのは、結局のところ自己肯定感や自己愛に繋がりますから、自分を健全に守りつつ大事なことにフォーカスして自己愛を育んでいけば、(逆説的ではあるのですけど)他人にどこまで求めていいか、どこからは負担になるか、という他者の感覚を感じ取ることができるようになります。これは、自分を大事にするからこそ他人を大事にすることができる、という意味でもあります。
そして、健全な自己愛他者愛があれば、適度に何かを頼んだり頼まれたり、上手に甘えたり甘えられたり、といった感じでバランス良くGIVE & TAKEができるようになるのではないかなと思います。
とまぁそういう感じで、エッセンシャル思考は、自己他者肯定感を高めるという意味でも、とても役に立ちます。
主体的に生きたい、シンプルで本質的な生き方を追求したいと思う方は、ぜひエッセンシャル思考を身につけて、ご自身の生活に落とし込んでみてください。
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A4にただ箇条書きで書き出すだけなのですが、頭の整理にはもってこいです。ブログ記事を練るときにも活躍してます。
個人的な好みですが、瞑想、マインドフルネスについては、スピリチュアルな要素を含んでいるものが好きではないので、同じように感じる方にはこの本がいいかも。では、本日はこのあたりで。